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朝日川重工業株弐会社へようこそ

皆さんの脳内に幼い頃から登記されている脳内会社。その礎である皆さんの良心回路は社会の荒波により知らぬ間に損壊しているる事が多々あります。ここに立ち寄られる事で復旧の一助となれば幸いです。

HAWAIIAN HIGHWAY  

PCC PureCarCarrier という和製英語の名付け親は川崎汽船です。
いまや、世界標準語である「PCC」。物流史上の日本の大発明です。
 昨今の世界の自動車専用船の原型をつくった川崎重工業と川崎汽船の業績はいまも脈々と現代に叡智をつないでいます。

新来島ドック大西製 次世代PCC HAWAIIAN HIGHWAYが川崎汽船の自動車船用新カラーでお披露目に大雨の中、神戸港へやってきました。そういえば はいうえいシリーズの第一船も来島製でした。設計は第十八とよた丸をさらに改良したKHI神戸でした。

賛否両論の新しいKの船体塗装。見えませんが上部のナビゲーションデッキ、ボートデッキなどソーラーパネルがてんこ盛りです。
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客船専用の第四突堤O1岸壁にくるのはこれが最初で最後になります。このお披露目のあとは先に山口県下松で積み込んだ日立製作所製の英国高速鉄道「800系」を英国にむけてはこびます。

今回、下松からは瀬戸内海を通らず、紀伊水道から入ってきました。
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画面が昔のISO1600銀塩フィルムのようにざらざらですみません。雨の中、タグ一隻で入港中。
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肥瘠係数は意外に大きそうなグラマーな水線部ですが水切りはカミソリ状態です。
前部はFP線からそのまま垂直にたちあがっています。
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いま世界中に何百隻といるPCCの原型は、第十とよた丸です。
世界初のPCC川崎汽船の第十とよた丸はKHI神戸製で当時最先端工学が投入された驚愕の美しい造形でした。
その後の改良型である、第十五とよた丸、第十八とよた丸(NYK)も息を呑むような美しさでした。
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(高城 清著 図説 船舶工学第二版より)
当時はランプウェイを船体に実装されておらず、組み立て式のスロープをナビゲーションデッキに積んで現地でクレーンをつかってすえつけていました。

40年以上も昔、手探りで設計がすすめられた第十とよた丸で行われた、①肥瘠係数の小さい船型のでバルバスバウの効果、②風圧影響係数、③限界風速、④錨泊時の振れまわりに関する研究成果は当時は全く新しいもので造船研究協会の共同研究を大きく促したものとされています。

その他、まだ実装されていなかったランプウェイや船内のランプのとりまわし、ラッシング技術やその間隔など、直面する課題が山積だったようです。特にこのPCCのように上部構造物が大きい船のローリング時はラッキングフォース(高い本棚をよこからおしつぶすような波の力)が普通の船の数倍になると70年前後当時から判断されており当時の対策として二枚の構造用隔壁を設置していました。これは強度計算を行うにも実例がないため手探りで実施されています。運用には不便が多かったようですが、他社では二重にしていないためにクラックが発生している事から、当時の川崎重工業の判断は正しかったようです。

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サービス速度16節前後を前提に計画されているようで、絞込みが大きい分、平行部が長く大きなGZ梃子をもっているのが伝わってきます。近くでみると、軽量化されたハンドレールやベンチレータカバーなど上部構造物への軽量化への努力が払われているのがわかります。特に強力甲板から上は明らかに軽量な高張力鋼板で構成されておりすでに瘠馬のアバラ状態になっておりしびれます。
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はなペッタンですが上部構造物の多くは空気抵抗の低減にむけた努力が払われています。
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雨ざーざー画面ですみません。油圧式ランプの右はアクセスラダー、左のへっこんだは燃料投入口とバンカーからのホースを吊る小型のブームが収納されています。
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世界に貢献する日本の先端技術である超高張力鋼板、超超高張力鋼板、高度な溶接技術に支えらている造船技術とその大型化は商品のコスト削減に欠かせません。

日本の発明である自動車専用船は日本の誇りですね。
特に復原力、強度設計が難しいとされているだけに余計です。
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フレア部のパンチング対策、アクセスラダーなどのユーティリティ部のコーナーに応力分散の為の補強がなされている一方、徹底した軽量構造になっているのがしびれます。


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御安航をお祈り致します。
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  1. 2015/07/23(木) 00:15:49|
  2. 船 RORO
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最期の王郵丸 

さようなら 王郵丸

バイト先のメンドクサイ取引先に行った帰りにいつも さんふらわあこばると か あいぼり を眺めてかえるのですがその向こうにセルリアンブルーの船体が見えました。のぞきこんでみるとなんとうずくまるように王郵丸がいるではありませんか。わたしは嬉しくて失禁しました。犬でいうところの嬉ションです。

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2015年2月にMES由良に入渠、整備後、そのままどこかに売られていくのかと思っていましたがまだ健在で嬉しく思いました。しかしもう、OJI PAPER の船腹のロゴは消されています。大阪港EDIで確認すると四国開発フェリーが管理していました。

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激しい海象、気象の中をくぐってきた満身創痍が痛々しい限りです。
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補機は元気に回っていました。
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2015年5月21日 離岸予定です。
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  1. 2015/04/24(金) 21:08:11|
  2. 船 RORO
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さんふらわあ とうきょう    さんふらわあ はかた

弊社が最も注目している船型が本船です。速力をあげるに従い、By the head になり しかも平水域であれば満載にも拘わらず25節あたりの最高速でも肩波が出ないのです。MHI下関は本当にすごい頭脳集団です。 しもせん恐るべし。
弊社で極秘裏に進めている新型船型ではこれを超えるべく日夜、このシリーズ船体の挙動を調査しています。

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22節で突入。最も傾斜が大きい状態です。
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さんふらわあ はかた

雨とガスの状況下でも弊社の調査部隊は調査を続けます。
雨とガス除去画像は荒れ荒れですがご容赦ください。前からみた挙動です。さんふらわあ はかた
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●キック現象発生中
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●キック現象発生中
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●キック現象発生中
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  1. 2015/04/04(土) 20:54:56|
  2. 船 RORO
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王郵丸

山の中にMESの看板。
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3キロほど先に小さな入り江といけてる漁港があります。
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いけてない船名の漁船もいます。
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風光明媚な由良港をうめたててつくった三井造船由良工場は現在 修理専門の工場として独立しています。
北海道や新潟、東京からもわざわざ修理や検査に瀬戸内海おくふかくまで入ることがおおいのですが、この由良は紀伊水道の入り口でもあり修繕品質も高い人気の工場です。
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王郵丸(M.S. OHYU MARU)
最後の検査の為に東京⇔苫小牧航路を運休し、MES 由良へ入港中。
大阪湾で待機後、紀伊水道を南下し 由良へ。 由良から4.5キロ沖を8.8Knで接近中図会。
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船名:王郵丸
運航会社:近海郵船物流(株)
総トン数:9,841G/T
載貨重量トン数:6,490D/T
貨物搭載量:12mシャーシ128台
竣工:2000(平成12年)年2月
就航年月日:2000(平成12年)11月18日
LOA:167.72m
B(mld)型幅:24.00m
D:7.20m
主機:19,800PS 21.20節
職員7名 部員4名 ドライバ6名

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今治造船の傑作。美しすぎるRORO、王郵丸。
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主機、燃料油槽の仕様が異なりますが王公丸、とかち、南王丸、しゅりとLPP、B(mld)同一設計の姉妹船です。
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東京⇔苫小牧を4隻のROROでサービスを提供するオーシャントランス㈱所属。王子製紙の積荷保証の下、積載時間、わずか5時間というROROならでは短時間荷役と激しい波浪で船体の傷みはかつての青函連絡船なみです。
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接岸中に、のんびり船体の錆おとしと部分塗装なんていう図はいまやありえません。
特に冬季、船体は着氷しすさまじい状況で休みなく運行をつづくけています。

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給油ドア、強力甲板の排水はもとよりボートデッキの車輌甲板換気用ベンチレーターがケースで守られていますが円筒部が痛々しい限りです。
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叩きつけるヒョウ、しぶきや強風などの激しさがつたわってくるファンネル。普通こうはなりません。
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何気にキャンバー、シアーの美しいRORO 王郵丸。
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ラインボートが最後のアフターラインをとっている図会。このままドックへはいって見えなくなりました。
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先日まで錆だらけでがんばっていた 大阪⇔志布志 のフェリー 検査中の さんふらわあ さつま。
となりで最後の仕上げのようです。
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拡大すると、まゆの形をした ライフラフトがすべて取り除かれています。これが当たり前の検査の図です。本来交換が必要なものを韓国人のように上から白いペンキをぬって新品に見せかけ、緊急時に射出用のピンがペンキで固められてぬけなくなるなんていう図は少なくともわが国ではありえません。
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性能維持の技術、リサイクル技術の差が設計、製造技術の差ですね。
弊社も肝だけでなくボウコウや、脳にも銘じて頑張りたい所存です。かしこ
  1. 2015/02/01(日) 13:25:02|
  2. 船 RORO
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第三はる丸

北日本造船 1992年の作品。 第三はる丸は当初、第七有明丸と命名されていました。
現在、第一、第二、第三はる丸の三隻体制ですが、以下のようにリプレイスされています。

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第一有明丸→第二はる丸 2006年6月
第八有明丸→第一はる丸 2006年7月
第七有明丸→第三はる丸 2006年8月(船名変更)


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LOA=114.5 LPP=105.5 B=20 D=10.7 d=5.81 3,692DWT

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同型船 第一有明丸。事故時の画像 
2005年1月18日に袖ヶ浦沖合いでガット船と衝突した同型船 第一有明丸。 ガット船は転覆。
第一有明丸 事故 2005年1月18日11時35分 袖ヶ浦市 沖合

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動揺周期が短そうな低重心にみえますが強力甲板から下はきっとVOIDがいっぱいでG点をひきあげているかもしれません。どうなっているのか一般配置図みてみたいですね。

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(切り出し拡大)
ナビデッキの延長上をみると、トタン板の如く波打っている部分があります。
車高の低い車輌など収容できる部分ですが側面のコルゲート鋼板など徹底した軽量化が図られているのがわかります。
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遮浪型ROROです。内海フェリー同様、このように車輌甲板が水密構造になっていません。
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しばらくするともうみれなくなるやもしれません。
  1. 2014/12/07(日) 16:37:13|
  2. 船 RORO
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